SNS型投資・ロマンス詐欺にご注意ください

ペアーズは、ロマンス詐欺等の被害者支援に取り組む団体「NPO-CHARMS(チャームス)​」と共同で、マッチングアプリの安全対策・啓発活動を強化しています。チャームスの代表である新川てるえさんによるSNS型投資・ロマンス詐欺の解説と、チャームスが監修する「最新版・詐欺から身を守るためのポイント」をご紹介します。

SNS型投資・ロマンス詐欺について

「近年、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害が急増しています。これらは、恋愛や結婚目的に見せかけて、実際に会うことなくLINEなどのチャットでやりとりを続けることで、信頼関係を築いて投資を持ちかけ、金銭をだまし取る卑怯な犯行です。多くの詐欺は、海外の犯罪組織によるものと言われています。このような詐欺が増加している背景には、コロナ禍以降インターネットでの出会いが増えたこと、また将来を見据えた投資が身近になったことなどが挙げられます。一方で、詐欺の手口は年々、巧妙化・悪質化しています。まずは最新の詐欺の実態を知り、どういった手口が横行しているか、チャームスが監修した『詐欺から身を守るためのポイント』を参考に防犯対策をしましょう」(NPO-CHARMS代表 新川てるえ氏)

「私はだまされない」 詐欺は他人事だと思いこむことは危険!

チャームスは、2016年から約千人以上の詐欺被害者のカウンセリングを行っていますが、被害に遭われた方の約9割が「自分はだまされないと思っていた」と話します。これは「自信過剰バイアス」と言われるもので、自身の能力や知識を過大に評価し、自信を持ちすぎる傾向を示します。このバイアス(先入観・思いこみ)は、自分が実際よりも優れているという誤った認識から生じるものです。だれしもがこのバイアスを持っており、リスクを過小評価したり、誤った判断を下したりする可能性があります。根拠もなく「私はだまされない」と信じることは危険です。詐欺は他人事だと思いこまずに、だれもが被害者になってしまう可能性があると認識しましょう。

どうだまされる? 最新の詐欺手口とは

以前は「国際ロマンス詐欺」と呼ばれ、犯人らはナイジェリアやガーナなどのアフリカ諸国を拠点としていましたが、現在はアジア圏に潜む詐欺グループが行なっていると言われています。コロナ禍以降、犯罪の傾向が変わり、2023年末ごろから「SNS投資詐欺」「ロマンス詐欺」が主流になってきました。恋愛感情や親近感を抱かせて大金をだまし取るだけでなく、最近は暗号資産(仮想通貨)の購入や架空の投資話を勧め、お金を振り込ませようとします。将来に対する経済や生活不安につけこみ、投資未経験者など金融リテラシーの低い層だけではなく、投資経験者も狙われています。「一緒に投資をしてふたりの結婚資金を貯めよう」などという誘い文句であなたをだまそうとします。

この特徴にあてはまったら詐欺を疑おう

  • LINEなどメッセージアプリやSNSへの誘導 詐欺師は、9割以上が1週間以内にLINE(ライン)などのメッセージアプリやSNS(交流アプリ)のDMに誘導することが分かっています。「ほかの出会いはもう必要ないよね?」「LINEだと仕事でも使うのですぐに返事が返せるよ」と、言葉巧みにLINE IDを交換しようとしたり、LINEグループに誘導しようとします。相手と実施に会うまでは必ずアプリの中でやりとりしてください。

  • 魅力的なプロフィール写真 詐欺師が使うプロフィール写真は、モデルのように完璧な容姿や顔立ちで興味を惹きます。犯罪組織の詐欺マニュアルには、写真やアイコンに「美男美女の写真、男性ならジムで運動しているもの、さまざまな角度や姿勢の写真をたくさん集めるよう」と書かれているそうです。芸能人やインフルエンサーの写真が盗用されるのはそのためです。完璧なプロフィール写真には気をつけましょう。

  • カタコトの日本語を使う 詐欺師は外国人であるとか、海外で生まれ育ったとか、海外生活が長いなどを理由にカタコトの日本語で「日本に興味がある」「日本語を覚えたい」など、親近感を感じるようなメッセージを送ってきます。また、最初は流暢な日本語だったのに、途中からいきなり機械翻訳を使ったような不自然な日本語になったり、明らかに言葉遣いが変わる場合があります。これは、詐欺集団が複数の仲間と共謀し、時間帯によって文字を入力する人が変わっているのかもしれません。

  • 身分証明書をみせて信用させようとする 詐欺師は、あなたをだますためにLINEなどに誘導し、頻繁にやりとりを重ねます。その中で顔写真、運転免許証やパスポートなどの身分証明書の画像を送り、自分が実在する人物だと信じこませようとしますが、それらの多くは盗用・偽造されている場合がほとんどです。逆に、相手から要求されても絶対に自分の顔写真や身分証明書を送ってはいけません。反対に自分の個人情報を悪用されて脅されたり、トラブルに巻き込まれる可能性があります。

  • 偽のビデオチャット ここ数年で生成AI(人工知能)が爆発的に進化し、人の顔や声までも他人や実在しない人物になりすますことが容易になりました。詐欺師はデジタル技術を悪用し、ディープフェイクと呼ばれる手法で偽のビデオチャットをリアルタイムにできるようになっています。相手とビデオチャットをしたから安心できるとはかぎりません。AIで生成された精巧な偽動画を見分けるのは困難です。

詐欺師が使うマインドコントロール

「なぜ詐欺にだまされるんだろう?」と多くの人が疑問を持ちますが、それは巧みなマインドコントロールが行われているからです。マインドコントロールとは他者の言葉や態度、行動によって心を操られてしまう状態のことで、人の心理にうったえて、本人に自覚がないままにコントロールします。さまざまな心理的手法を使って被害者の感情を操り、冷静な判断を奪って、気がついたときには詐欺の被害に遭ってしまった、というのがロマンス詐欺のとても怖いところです。マインドコントロールの手口を知ってだまされないようにしましょう。

  • 過剰な自己開示 詐欺師は、信頼関係を築くために過剰な自己開示をします。例えば、不幸な身の上話は、被害者の同情を誘うとともにそんな秘密を打ち明けてくれた相手に心を許していくという効果があります。相手の詳細な個人情報を聞くことで、自分も同じように自己開示するようになり、お互いの信頼が深まっていきます。

  • 「運命の人」に要注意 詐欺師は、短期間で深い感情的なつながりがあるかのようなメッセージを送ってきますが、それは危険信号です。「あなたは特別な存在だ」「運命の人だ」といった言葉を頻繁に使い、まるでふたりが奇跡的に出会ったかのような錯覚を与えて、あなたの心を巧みに操ります。

  • 頻繁なメッセージ 詐欺師は、頻繁にメッセージを送ってきます。1日に何十通も熱心なメッセージをやりとりすることで、四六時中ともにいる気分にさせられ、会っていなくてもいつでも一緒にいるような気持ちになっていきます。

  • つり橋効果 詐欺師がよく使う「つり橋効果」とは、不安や恐怖、苦労などを一緒に体験した人に恋愛感情を持ちやすくなる心理的効果のことです。ある時突然、架空のハプニングが起こり、それを一緒に乗り越えようとすることで、詐欺師と被害者の絆がさらに強くなり、より親密になっていきます。

  • 投資詐欺の罠 詐欺師は、「将来のために一緒に資金を貯めよう」などと結婚のための資産形成を匂わせ、暗号資産投資や副業を勧めてくる場合があります。最初は小さな金額から投資をはじめ、利益が出てたら、出金できることがありますが、すっかり信じて大きなお金を振り込んで出金しようとすると手数料が必要になり、さらなる出費が続きます。被害者はお金を失いたくないあまり、必死で取り戻そうとしますが、これもマインドコントロールの一種で「損失回避性バイアス」と呼ばれるものです。人は得ることよりも損うことを恐れるため、合理的な判断ができなくなるのです。

金銭の要求には要注意!絶対に振り込まないで

会ったことがない人からお金の話をされたら注意が必要です。相手に突発的な不幸やトラブルがあり金銭を要求してきても、すぐに応じてはいけません。チャットのやりとりでいくら相手を信頼していても、オンライン上での金銭の送金は避けてください。その前に、まずは実際に会って実在する人物かどうかを確かめることも検討しましょう。

少しでも怪しいと思ったら、ストップ!必ず周りに相談しよう

「何かがおかしいと思っていたけれど、気がついたら詐欺だった」と多くの被害者は後悔を口にします。詐欺だと気づくには、第三者の視点が重要ですが、詐欺師は「私たちだけの秘密」「誰にも言わないで」とふたりだけの世界を作ろうとします。あなたを家族や友だちから切り離し、孤独にさせて周りに相談することを邪魔をします。さらには、「あなたしか信じられない」「君だけが助けてくれる」などと言い寄って、あなたに義務感を抱かせます。少しでも不安を感じたら、相手との連絡をストップして、身近な人や警察、消費者センターなどの専門家に相談することをおすすめします。ロマンス詐欺の被害者支援グループをサポートするチャームスもご活用ください。ひとりで悩まないでぜひ相談してください。

もしも詐欺に遭ってしまったら、まず警察へ

万が一詐欺に遭ってしまったら、まず警察に連絡しましょう。最寄りの警察署に相談して速やかに被害届を出しましょう。ペアーズのセーフティセンターからカスタマーサポートにも相談・通報してください。なお、インターネットにはロマンス詐欺の被害者を狙った悪質な弁護士や怪しい探偵事務所の広告が数多く存在します。高額な着手金や調査費用を要求されて二次被害に遭ってしまった被害者も多数いますので、各地域の弁護士会からの注意喚起も参照してください。

不安を感じたり、万が一被害に遭ってしまった場合は、すぐに警察窓口までご相談ください。​​


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